マイナンバー導入によって企業にはどのような負担が増えてくるのでしょうか?

長い目で見れば行政手続きが大幅に簡素化されることが予測されますが、短期的には採用時の本人確認や個人番号の管理なども含めて、業務量が増加することが考えられます。

マイナンバーは、現時点では主に社会保障分野や税金分野に関する様々な手続きで利用します。

そのため、企業においても、社会保険や雇用保険の加入手続き、源泉徴収票への記載など、日常的な人事労務手続きに際して、従業員からマイナンバーが提供されていないと、各種の手続きが全て実施できないことになってしまいます。

全従業員、外部協力者も含めて、マイナンバーが指定期日までに提供してもらわないと、企業の担当者は督促や紛失時の対応相談に追われることになり、通常の業務が圧迫されることもあります。

さらに、マイナンバーの回収方法もあらかじめ定めておかないと、いろんな関係者からマイナンバーが送付されてきて、管理が煩雑になってしまいます。

従業員やその扶養対象家族のマイナンバーを回収した後、とりわけ、情報漏洩に対して企業側には十分な配慮が求めらており、安全管理対策の検討も行っていかないとなりません。

システム面の改修もケースによって生じることもあります。特に自社で社内業務システムを構築したりカスタマイズして使っている場合は、マイナンバーに対応するものに改修する必要があります。人事や給与計算のソフトメーカーがマイナンバー管理にあたって対策を講じてくれていれば良いのですが、自社独自に人事や給与のシステムを構築していると、各種書式への印字や漏洩対策などでシステムを改修する必要が生じてきます。特にシステムはすぐに対応することが難しいため、あらかじめ計画して取り組む必要があります。

こうしたことから、短期的にいろんな手間や費用が生じる可能性があるため、しばらくは業務量が増えることになります。しかし、2017年以降に国の機関、地方公共団体、税務署、年金事務所などで情報連携が開始される予定になっており、様々な機関で情報連携がされるようになってくると、添付書類の省略や手続きの簡素化などで長い目で見ると、企業の総務担当者にとっては業務量が減っていくことが予測されます。

ここで、マイナンバー導入に向けて企業の総務担当者がやらないといけない全体スケジュールと総務担当者の役割をまとめておきます。

企業のマイナンバー制度導入に向けた社内体制の整備

マイナンバーが関連する業務が、企業のどこの部署に影響があるかを把握したうえで、特別チームを編成します。

マイナンバーを扱うのは総務人事部門だけではなく、もし仮に支払調書や源泉徴収票を他の部署で作成している場合はその部署、マイナンバー管理で重要な役割を担うシステム部署にも大きな影響があります。これらの関係者を集めて特別チームを編成します。

そして、マイナンバー制度の実施事項とスケジュールを確認して、それぞれの役割分担を明確にします。複数の部署が連携して実施する必要があるので、定期的なミーティングをするようにします。

マイナンバー収集対象者の洗い出し

誰から、マイナンバーを収集する必要があるかを洗い出します。

マイナンバーの主な収集対象者は以下です。

1、従業員とその扶養家族(役員、パート、アルバイトを含む)
2、報酬を支払っている、弁護士、税理士、社会保険労務士など外部専門家
3、講演料や原稿料を支払っている、有識者や各種講師
4、不動産賃貸による使用料、不動産等を譲受けの対価、不動産の売買または貸付の斡旋手数料などを支払っている不動産関係先

マイナンバー収集対象者への周知と個人番号の収集

マイナンバーの通知カードには、住民票に記載されている住所に郵送されますが、現在住んでいるところと住民票の住所が違っているものがいる場合、住民票の異動手続きを進めるようにしてマイナンバーの通知カードを確実に受け取れるようにアナウンスする必要があります。

通知カードが郵送される2015年10月より前に、住民票の住所宛てに通知カードが発送されること、そのカードを大切に保管しておくことをアナウンスしておきます。

制度施工までにマイナンバーの管理の重要性を従業員に伝えるとともに、社内でのマイナンバーの取り扱いルールを周知するための説明会を開催するなど、社内教育を行います。

従業員に利用目的を明示したうえで、マイナンバーの収集を行います。収集にあたっては制度施工前に在籍をしている従業員と制度施工後に入社する従業員に対応を分けて行う必要があります。

方針の明確化と規程の整備

プライバシーポリシーなど、特定個人情報の取り扱いにかかる基本方針を明確にして規程類を整備します。

規程類の整備については、別途またお伝えしていきます。

個人番号の安全管理措置の検討

法律では、特定個人情報の漏洩を防ぐために、以下の安全管理措置を講じる必要があるとしています。

1、組織的安全管理措置
2、人的安全管理措置
3、物理的安全管理措置
4、技術的安全管理措置

安全管理措置の整備についても、別途またお伝えしていきます。

この安全管理措置の実施はマイナンバーで業務量が増えるところとなりますので、早めに検討してスムーズに確実に対応を行うことが求められます。

社内システムの改修

マイナンバー制度の導入に伴って、源泉徴収票や支払調書をはじめとして、いろんな様式が変更になります。

もし、社内システムで人事労務関係の書類を作成しているなら、それらの社内システムの改修が必要になりますし、そもそもマイナンバーを管理する仕組みを作らないといけないため、給与計算や人事管理系を中心とした社内システムの改修が必要になります。

市販のパッケージソフトを使っている場合は、パッケージソフトを作っている会社が対応した新しいバージョンを出すため、バージョンアップだけで対応出来るケースが多いと思いますが、自社で開発した社内システムを使っている場合は早い対応が求められます。

委託先、再委託先の体制確認と監督

社会保険労務士などに各種の手続きを委託している場合は、委託先や再委託先にも委託者自身が果たすべき安全管理措置と同等の措置が求められているため、適切に委託先を監督する必要があります。

委託先の安全管理措置を確認するとともに、それが確実に実施されるような契約にしておかないといけません。